丸ノコは力を入れずに木材などをまっすぐ正確に切断できる便利な道具です。一方で鋭い刃が高速回転するため、ケガのリスクの高い工具でもあります。初めて使用するときには、危険性と正しい使い方を理解して、安全に使用することが大切です。
今回の記事では、丸ノコの危険性や安全な使い方をまとめました。正しい使い方を理解して、効率的に精巧なDIY家具を作るのに役立てましょう。
目次
丸ノコはどのような工具?
丸ノコは、円形の歯を電動で回転させて材料を切断する工具です。基本的にはコンセントにつないで電源を確保して使用するタイプが多いといえます。
直線でカットするのに適していて、曲線方向に切るのには不向きです。主に木材に使用する工具で、硬い木材でも力をかけずに正確に切断できます。大掛かりな木材家具やウッドデッキ作りなどに便利な工具です。
便利な反面、鋭い歯が高速回転するため怪我や事故のリスクが高い工具でもあります。正しい使い方を学んで、安全に配慮しながら作業を進めましょう。
丸ノコの基本的な部位を紹介
丸ノコの基本構造は、次のような部位で構成されています。
ノコ刃
「チップソー」とも呼ばれる円盤上の刃で、電源を入れると高速回転します。木材用が多いものの、金属用・樹脂用など特定の材質に適した刃もあります。
ベース
材料が浮かせないようにするためのプレートです。ベースが浮かないように材料を抑えつけながら切り進めると、安定して作業を進められます。
保護カバー
材料を切るうえで露出する必要のない部分を覆うもので、作業の安全性を高める役割があります。材料が葉にあたり、切り進めるにつれて上部に開いていく構造をしています。
スイッチ・ロックボタン
スイッチは歯の回転を開始させるためのものです。トリガー式など、丸ノコを握った状態でオン・オフ操作ができる構造になっているものが多いといえます。
通常は、スイッチを離すと自動で電源がオフに変わる仕組みとなっています。一方で、ロックボタンを入れると、スイッチを離しても電源が入ったまま作業を続けられる仕組みです。
角度調整ネジ
刃の角度を調節するネジです。基本的な使用状況においては、角度が90度になるように調節してネジをしっかりと締めましょう。上級者になると、斜めに切るためにあえて歯の傾斜角度をつけて作業を進める場合もあります。
丸ノコでできること
丸ノコでできるカット方法は、おおまかに分けると次の3種類です。
・直線カット|基本的な使い方で、木材を真っ直ぐ切っていきます
・角度切り|角度調節ネジで刃の角度を斜めに変えて切断する方法です。
・溝切り|切り込みの深さを材料の厚みより少なくすれば、溝を掘ることができます。少しずつずらして何度も掘っていけば、任意の太さの溝を掘れます
初心者は、まずは直線カットが思いのままできるよう工具に慣れたうえで、必要に応じて角度切り、溝切りもDIY作業に取り入れていきましょう。
丸ノコの使い方
作業の準備も含めると、丸ノコの大まかな使い方は以下の通りです。
・作業場所を整える
・切断する深さを調節
・材料を固定
・カットを進める
それぞれのプロセスについて、詳しく紹介していきます。
作業場所を整える
丸ノコを使用する作業場所を準備しましょう。カットする材料の下にはあて板を用意して、作業場所にキズが着かないように工夫してください。作業台からずらして材料を置いて、空中で作業をするのはおすすめしません。
材料の重みで断面がずれてしまったり、材料が意図せず動いて事故やケガの原因になりがちです。あて板を用意したうえで、切断面を作業台の上において使用しましょう。
切断する深さを調節
切断する素材の厚みに従って、深さを調節しましょう。素材をカットするために使用するなら、素材の厚みよりは切断面を深くする必要があります。
一方で、深くするほど厚みのある当て木が必要となるほか、机など作業場を傷つけるリスクも高くなります。素材が切れる深さであることを前提として、あまり刃は出し過ぎないようにしましょう。
材料を固定
材料をしっかりと固定したうえで作業するのがおすすめです。クランプや万力など、強い力で材料をおさえつける器具を使用するのがよいでしょう。片手で材料をおさえながら作業を進めるのは、ケガや事故のもととなるので避けてください。
カットを進める
準備が整ったら、いよいよカットを進めます。カットする方向が正面に見える位置に立ったうえで、半身に構えて腕を動かしやすい姿勢を取ります。刃の先端を材料に合わせてスイッチを握り、ゆっくりとまっすぐに切り進めてください。
できるだけ切り進めるスピードは一定に保つのが、きれいに切断するコツです。思うように切り進められなくなったときは、一度電源を切って作業を中断しましょう。
丸ノコはケガの危険性が高い工具
丸ノコは鋭い刃が高速回転する工具であるため、ケガの危険性が高い機械のひとつです。特にキックバックという現象がしばしばケガや事故の原因になります。キックバックの危険性と起こりやすい条件について理解して、対策を検討しましょう。
キックバックが事故の原因になりがち
丸ノコは、キックバックという現象がしばしば事故の原因となります。キックバックとは、回転する刃が材料に挟まったときに発生する現象です。材料との摩擦抵抗により、突然刃が反対方向に走る現象です。
力が強いと手でおさえきれずに丸ノコが制御不能になります。勢いの付いた丸ノコが手指や体に接触すると、大けがの原因となります。キックバックが起こりやすい条件を理解して、適切な対策を実践することが、安全に利用するうえで大切です。
キックバックが起こりやすい条件
キックバックは、以下のような条件が重なったときにしばしば発生します。まず、作業の仕方や準備段階で予防できる原因は以下の通りです。
ノコ刃を大きく出しているとき
材料が傾いたまま切り進めるとき
進行方向が曲がっているとき
先ほど紹介した作業手順を守れば、以上のリスクはある程度緩和できます。
一方で、次の原因は材質の問題になります。該当する材質を扱わざるを得ない場合は、細心の注意を払って作業を進めましょう。
硬い木材
・反りのある木材
・湿った木材
・最大切り込み深さに近いほど厚い木材
キックバックのリスクをゼロにするのは困難なので、原因を極力排除したうえで危険性を理解して作業を進めるのが大切です。
丸ノコでの事故を防ぐ使い方のポイント
キックバックを始めとした丸ノコでの事故を防ぐために、次の点に注意して作業をしましょう。
コードを肩に掛ける
・ゴーグルなど基本的な防具を身につける
・高さや立つ位置に注意する
・粉塵対策もわすれずに
コードを肩に掛ける
丸ノコのコードは肩に掛けて作業するのが安全です。コードが緩んだまま作業を進めると、刃にコードが絡まって切断してしまったり、丸ノコが制御できなくなってしまうリスクがあります。肩にかけて丸ノコやカットしている素材に接触しないように注意を払って作業をしましょう。
ゴーグルなど基本的な防具を身につける
ゴーグルやイヤーマフなど、基本的な防具を身につけるのも重要な対策です。丸ノコでのカット作業中は粉じんが飛んでしまいます。また、切断した小さな部品が自分の方に跳ね返ってくることもあるでしょう。目や耳といった部位に粉じんや小さな部品が当たれば、大けがにつながるリスクもあるため、しっかりと保護しましょう。
なお、手指を保護する目的で軍手を装着するのは避けましょう。繊維が刃に絡んで事故の原因となるためです。手指の保護をするなら、よく密着する革製の手袋を使用してください。
高さや立つ位置に注意する
台の高さは腰くらいになるように作業場所を調節しましょう。高すぎても低すぎてもまっすぐ切り進めるのが難しくなり、キックバックのリスクを高めてしまいます。また、材料の真後ろではなく、半身になるように立ってください。
真後ろに立つと、キックバックが発生したときに体や脚に刃が向かってくる恐れがあります。半身であれば、万が一キックバックが発生してもかわせる可能性が高くなるでしょう。
粉塵対策もわすれずに
細かい木くずによって生じる粉塵対策も忘れないでください。ゴーグルやイヤーマフは粉塵対策としても有効です。そのほか、口元はマスクで覆って粉塵を吸い込まないようにしましょう。集塵機能がついた丸ノコを使用するのも一案です。
丸ノコの安全な使い方を理解してDIYを効率良く進めよう
丸ノコは木を正確に効率よく切断するうえで重宝する工具で、DIY用に個人で所有している方も少なくありません。
今回紹介した使い方を理解して、木の加工に活用しましょう。一方で、丸ノコは鋭い刃がついているがゆえに、大ケガにつながる事故が起こりやすい工具です。今回紹介したキックバックのリスクを理解したうえで、安全に使用するための対策を施して作業に臨みましょう。
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