さしがねとは、DIYだけではなくプロの大工さんも愛用する、木工において定番の道具です。
しかし、DIYを始めたばかりの人にとっては、使い方がよく分からないかもしれません。
今回は、
- さしがねの基礎知識
- さしがねの6つの使い方
- 注意したいポイント
について詳しくご紹介していきます。
目次
さしがねとは?
さしがねとは、L字型のものさしのような工具です。
ステンレスや鋼などの金属で作られており、
木材のサイズを計測したり、角度を測るために用いられます。
指金、差金または曲尺(かねじゃく)、曲がり金と呼ばれ、日本で1,000年前から建築や木工などに広く使われてきました。
日本工業規格(JIS規格)では角度直尺と表記され、硬度や形状寸法の規格が定められています。
JIS規格
さしがねのJIS規格を表にまとめました。
【形状】
・A形
画像引用元:曲尺の特長と使い方 | 技術情報 | MISUMI-VONA【ミスミ】
・B形
画像引用元:曲尺の特長と使い方 | 技術情報 | MISUMI-VONA【ミスミ】
・C形
画像引用元:曲尺の特長と使い方 | 技術情報 | MISUMI-VONA【ミスミ】
【硬さ・厚み・幅】
※Hv(ハードビッカーズ):硬さを表す単位。数値が大きいほど硬い。
部位ごとの呼び方
画像引用元:さしがねの基本 | 楽しみあれこれのブログ
さしがねの長い部分は「長手」短い部分を「短手」または「妻手」、直角の部分を「矩手(かねて)」と呼びます。(JIS規格では長手→長枝、短手( 妻手 )→短枝)
長手の長さは 妻手 の2倍で一般的に流通しているさしがねは、
- 長手30cm:短手15cm
- 長手50cm:短手25cm
の2つのサイズが多いです。
さしがねは両面に目盛りがついていますが、表面の目盛りを「表目」、裏面の目盛りを「裏目」と呼びます。
さしがねは様々な目盛りがある
さしがねの表目はセンチ・ミリ単位の目盛りが刻まれています。
裏目の目盛りには以下の通りいくつかの種類があります。
- 尺相当目盛:尺単位の目盛り
- 丸目:直径に3.14を掛けた数字が描かれていて円周を算出できる目盛り
- 角目:円の中で取れる正方形のサイズが測れる目盛り
- ほぞ穴測定目盛:さしがねの先端から目盛りがついている
このようにさしがねひとつで、いくつもの道具を使った時と同等の働きが利用できます。
さしがねの使い方6選
さしがねの使い方を6通りご紹介していきます。
直角にマークする
画像引用元:さしがね(曲尺)の使い方 | DIY FACTORY
木材に直角にマーク(墨付け)したい時は、さしがねがおすすめです。
ものさしでも真っすぐな線は引けますが、木材の長辺に対して正確な垂直にするのは意外と難しいのでさしがねを使います。
さしがねの長手を木材にひっかけて妻手を木材に密着させると、直角に墨付けができます。
安定して墨付けするためには、長手の真ん中あたりを持って押さえるのがポイントです。
端に近い部分や 矩手部分を持って作業すると、さしがねが浮きやすく直角に線が引きにくいので注意しましょう。
・ベニヤ板など薄い木板に墨付けしたい場合
薄い木板に墨付けしたい時は下に厚めの当て板を敷き、長手部分をすこしたわませながら持ちます。
人差し指と小指の2点で支えるようにして持つと安定しやすいです。
・長手をひっかけずに墨付けする場合
大きい木材や、端から近い部分への墨付け、斜めに線をひきたい時は、長手をひっかけずに端の方を持ってしならせて密着させます。
親指で押さえつけるようにすると安定するので、線を引きやすくなります。
等分割する
画像引用元:さしがねの正しい使い方!テクニックと知識を身につけよう - makit(メキット)by DIY FACTORY
さしがねを斜めに木材に当てて、等分したい数で割った数字の目盛り部分に印を付ければ正確に等分できます。
斜めに当てる理由はきりのよい数字を割り振りやすいためです。
たとえば、垂直に計測して10㎝の木材を3等分するよりも、斜めに計測して15cmの木材を3等分する方が分かりやすく等分も正確ですよね。
木材のサイズに合わせて長手と妻手を使い分けましょう。
材料や工具が直角を確認する
木材や使用する工具が直角かを確認する時にもさしがねは使えます。
長手と妻手が交差する 矩手の部分を使い直角か確かめます。
たとえば、木材が直角かどうかを確認する場合は、木材の角の部分にさしがねを当てます。
さしがねがぴったりとはまれば直角ということになります。
工具の直角を調べる時は、たとえば丸ノコやジグソーなどに使用することが多いです。
切断用の電動工具は刃が曲がっているとまっすぐ木材をカットできないので、刃を取り換えた時や木材を切る前などに工具に対して垂直に矩手部分を当てて刃の角度をチェックしましょう。
角度を取る
さしがねを置く位置で、30度・45度・60度の角度が取れます。
目盛りを合わせる位置を調節すれば応用が利くので、分度器替わりとしても使えます。
45度
画像引用元:さしがね(曲尺)の使い方 | DIY FACTORY
さしがねの 矩手の部分を木材の上に当て、木材の下部分に長手と妻手の目盛りの数値が同じになるように合わせると45度が取れます。
30度と60度
同様に、木材の下部分にくる目盛りの位置を2:1になるように合わせれば、30度と60度の角度が取れます。
目盛りの数字が大きい方が30度、小さい方が60度となります。
曲線を描く
さしがねの両端をしならせると曲線の墨付けができます。
2人で作業する際は、1人がさしがねをしならせてもう1人がマークします。
1人で作業する場合は 矩手がある側をクランプなどで固定して、先端をしならせればきれいな曲線が引けます。
ほぞ穴を測る
ほぞ穴とは、昔からの建築で使われる木材を組み合わせるための穴のこと。
先端から目盛りがついているほぞ穴測定目盛付のさしがねであれば、ほぞ穴や溝なども正確に計測できます。
さしがねを使う際の2つの注意点
さしがねを使う際に注意したい2つのポイントについて見ていきましょう。
保管時などに歪まないようにする
さしがねは計測や等分など精密な作業にも使用する工具です。
少しの歪みでも作業に影響してしまうため、保管する際はさしがねがゆがまないように
重いものをさしがねの上に載せない
変形した状態で長時間放置しない
という2点を守りましょう。
ケースに入れて引き出しや工具箱に保管することをおすすめします。
しならせすぎない
曲線を描く・材料にぴったりと押し付ける際にさしがねをしならせることがありますが、力任せに曲げず軽くしならせる程度にしましょう。
あまりに力を入れると、さしがね自体が変形してしまうことがあります。
さしがねが曲がってしまうと元の状態に戻すのは難しいです。
ひどい場合には折れたりして大変危険なので、さしがねをしならせて使う際は力加減には注意してください。
まとめ
さしがねは1,000年前の昔から現在に至るまであらゆる木工に用いられてきた伝統ある工具です。
シンプルな形状でありながら直角や円弧に墨付けをする、角度を取る、等分割するなど様々な作業ができます。
大工さんが使う道具というイメージも強いかもしれませんが、基本的な使い方を知っていればDIYでも活躍しますよ。
ひとつあると便利な工具ですので、これからDIYを始める方もぜひお試しください。